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男が一人、空の玉座の前に立っていた。男の名はナオキ。
ナオキは毎日、朝日の昇る頃にはここへやってくる。それがナオキの使命。彼はこの塔を護る守護者だからだ。
彼は今日も主不在の玉座を見て深い溜息を洩らした。
この玉座に座るべき王が姿を消してすでに三か月。
その日以来、朝日は姿を見せなくなってしまった。まるで王の不在を悲しんでいるかのように、連日雨が続く。
日中は晴れ間が広がっても、朝には必ず雨が降る。この塔から望む美しい朝日を見ることはできなくなった。
「放浪者の搭」
ここはそう呼ばれていた。
かつて光が奪われようとした時、世界を救った14人の王。その志を受け継ぐ者たちが集う場所。
彼らは「放浪者」と呼ばれていた。
彼らは世界各地を旅し、闇に包まれる地に光をもたらすのが使命。
そして何よりも、人々の心に希望と言う名の光をもたらすことが彼らの願いだった。
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