第4章

4/12
前へ
/90ページ
次へ
笑い終わったナオトはショーキチにそう聞いた。すでに呼び捨てのナオトにショーキチは引きつった笑いを浮かべている。 ちらっとナオキに視線を向けたショーキチの瞳が 「ほら」 と、言っているように思ったのはナオキの気のせいではないだろう。 『ナオキくんの性格上、俺を呼び捨てにはしないのは分かってるし…ナオトくんが俺を様呼びするのはからかいたい時だけじゃん』 『よく分かってるじゃん』 ナオトはそう言うとショーキチの肩をバンと叩いた。 『いって―!』 『ナオト様、さっき先人であられるとか言ってませんでした?』 叫ぶショーキチを横目にナオキがナオトに言うと、ナオトは頭の後ろで手を組みながら笑う。 『いいんだよ、ショーキチだから』 『どういう理屈ですか』 ナオトの笑顔を見ていると、つい笑って許してしまう。これはナオトの特権だろう。 『小悪魔め…』 ぼそりと小さな声でショーキチが呟くのをナオキは聞き逃さなかった。ナオキはショーキチに近づくと耳元で囁く。 『ナオト様に遊ばれているようでは、タカヒロ様がお戻りになられたら弄ばれますよ』 ナオキの言葉にショーキチは深い溜息をついた。 『ですよね』
/90ページ

最初のコメントを投稿しよう!

15人が本棚に入れています
本棚に追加