15人が本棚に入れています
本棚に追加
笑い終わったナオトはショーキチにそう聞いた。すでに呼び捨てのナオトにショーキチは引きつった笑いを浮かべている。
ちらっとナオキに視線を向けたショーキチの瞳が
「ほら」
と、言っているように思ったのはナオキの気のせいではないだろう。
『ナオキくんの性格上、俺を呼び捨てにはしないのは分かってるし…ナオトくんが俺を様呼びするのはからかいたい時だけじゃん』
『よく分かってるじゃん』
ナオトはそう言うとショーキチの肩をバンと叩いた。
『いって―!』
『ナオト様、さっき先人であられるとか言ってませんでした?』
叫ぶショーキチを横目にナオキがナオトに言うと、ナオトは頭の後ろで手を組みながら笑う。
『いいんだよ、ショーキチだから』
『どういう理屈ですか』
ナオトの笑顔を見ていると、つい笑って許してしまう。これはナオトの特権だろう。
『小悪魔め…』
ぼそりと小さな声でショーキチが呟くのをナオキは聞き逃さなかった。ナオキはショーキチに近づくと耳元で囁く。
『ナオト様に遊ばれているようでは、タカヒロ様がお戻りになられたら弄ばれますよ』
ナオキの言葉にショーキチは深い溜息をついた。
『ですよね』
最初のコメントを投稿しよう!