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笑いが止まらない二人の横を通り抜けナオキがケイジに近づいた。
『お帰りなさいませ、ケイジ様』
『ただいま』
笑顔の戻ったケイジはナオキの肩をポンと叩く。
『なんかナオキにお帰りって言われると、帰って来たんだなーって思うわ』
満面の笑顔で言われたナオキはそっと目を伏せた。
「放浪者の搭」には普段王とナオキしかいない。仲間たちは旅を終えると戻ってくるが、こうして一堂に会することはない。
いつも皆の帰りを待っていたナオキには、ケイジの言葉が何よりも嬉しかった。自分が帰る場所になれていたのだと、そう思えたから…
『ただいまー!』
大きく扉が開き、タカヒロの通る声が響き渡った。
『あれ、俺一番乗りじゃないの』
タカヒロはそう言いながらも嬉しそうに笑いながら近づいてきた。
『タカヒロ様、お帰りなさいませ』
ナオキが言うとタカヒロはナオキに抱きついた。
『ナオキ、ただいま!』
タカヒロは他の三人には聞こえないように小さな声で呟いた。
『アツシ様の事、ありがとうな』
ナオキはそれを聞いて小さく頷き、それを肌で感じたタカヒロはナオキから離れた。
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