15人が本棚に入れています
本棚に追加
ナオキは王の間を出ると、地平線の彼方に目を向けた。今日も朝日は姿を見せていない。
ナオキはまたため息を漏らした。
『王、どこへ行かれたのですか?』
そう呟いて搭を見下ろしたナオキの目に一人の男の姿が映った。ナオキは階段を下りていくと男の名を呼ぶ。
『ナオト様』
ナオトと呼ばれた男は立ち上るとナオキに笑顔を向けた。
『お戻りになっていたのですか?』
ナオキはナオトに並ぶとそう言って笑った。ナオトはバツの悪そうな顔をすると目を伏せる。
『いてもたってもいられなくてな。王はまだ?』
『はい』
『そうか』
ナオトはナオキの言葉を聞くと眼前の景色に目を向けた。
地平線は暗く、厚く覆う雲が太陽の光を遮っている。だが雲に遮られながらも、その向こうには輝く太陽がいるのは間違いないのだ。
最初のコメントを投稿しよう!