第4章

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『ナオキ、「NEW HORIZON」は六日後に起こる。仲間たちが皆帰ってくるだろう。その準備を頼むぞ』 『はい』 ナオキが答えると、王は跪く彼に近づきその肩に手を置いた。 『これがお前の最後の務めになるな』 『そうですね。最後まで守護者としての役目に励みます』 ナオキはそう言ってもう一度王に頭を下げた。 「放浪者の塔」の守護者は後継者の中で一番年齢の若い者が担うことになっている。 新しい後継者が誕生すればナオキは守護者としての任を解かれ一人の「放浪者」になる。 ナオキの前はショーキチが。ショーキチの前はアキラが守護者としてこの塔と王を護ってきた。 とは言え、ナオキは今までの守護者の中で一番長くその任についてきた。礼儀正しく、よく気の回るナオキは守護者に適任だったと言えるだろう。 『お前がいなくなると寂しくなるな』 王がぼそりと呟いた。その言葉にナオキは涙が込み上げてくるのを感じた。 『ありがたきお言葉です』 俯いて涙を堪えながら、ナオキは何とかそう答えた。
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