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「放浪者の塔」はいつになく賑わっていた。あとはアツシが戻れば全員が揃う。
「放浪者」が揃うのは新年のみ。
それ以外は旅を終えたものが戻ってくるだけなので、皆なかなか顔を合わせる機会がない。
だから皆、それぞれの話を聞くのが楽しくてならなかった。特にウサの話を聞きたがる者が多く、ウサはいつも何人かに囲まれていた。
『ウサは大人気だな』
マツが言うとマキダイが笑う。
『そりゃ、あれだけいろんなとこ行ってるからな。同じ期間旅に出てるのに、回る場所の数桁違いだし』
『確かに。あのアクティブさはどこからくんのかな』
『好奇心じゃない?』
マキダイの言葉にマツは手を叩いて頷いた。
『テツヤ―』
アキラがテツヤの首に手を回した。
『どうしたんですか、アキラ様』
『俺さ、オーロラ見れた!』
『マジっすか!やりましたね』
アキラは嬉しくてたまらないと言った表情で次々に言葉を並べた。
それをうんうんと頷きながら聞いているテツヤも本当に嬉しそうに笑っていた。
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