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興奮しているアキラにナオキが飲み物を渡す。
グラスを受け取ったアキラはナオキを見つめ、少しだけ声のトーンを落として言った。
『オーロラ見た後でさ、朝日が昇ったら暗闇が白い世界に変わったんだよ。その朝日がすげー綺麗でさ、みんなに見せてやりたいって思ったんだ。特にナオキに』
『私ですか?』
『だってナオキは「放浪者の塔」から出ないじゃん。あ、そうだ。ナオキが守護者の任から離れたら、一緒に見に行こうぜ!』
アキラの言葉にナオキは優しい笑顔を浮かべると右手を胸に添え頭を下げた。
『光栄です、アキラ様』
その時、皆の集まる広間の扉が開いた。
ぎぃと軋むような音を響かせた扉の向こうからアツシが入ってくると、皆が一斉にアツシに視線を向けた。
『ただいま』
アツシは照れたような微笑みを浮かべ、澄んだ声でそう呟いた。呟いたはずのその声は広間に響きわたるほど通る声だった。
皆立ち上がりアツシに駆け寄って行く。
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