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アツシはナオキに目を向けた。
『ただいま』
『お帰りなさいませ、アツシ様』
ナオキは言いながら頭を下げる。が、すぐに頭を上げると
『随分、時間がかかられましたね』
と、にっこり笑う。アツシは苦笑いを浮かべながら鼻をこすって見せた。
『やっぱり歌われたのですね』
『う、うん』
まるで叱られるのが分かっている子供のようにアツシは下を向いていた。
『前以上に声が通られておいでです。もう全快ですね』
ナオキが言うとアツシは顔を上げ微笑みながら頷いた。
『怒られるかと思ったよ』
そう言って笑うアツシは本当に子供のようだった。
『アツシ様!』
ショーキチが走ってきてアツシに声を掛けた。アツシが振り返るとショーキチは言いにくそうに言葉を紡ぐ。
『あの…俺たちの歌を聞いていただけませんか?』
ショーキチはアツシの目をしっかりと見つめると自分の想いを伝えた。
『ネスと歌うのかい?』
アツシが聞くとショーキチは頷いた。
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