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ネスミスとショーキチは歌が好きで、何よりもアツシのその歌声を間近で聞いたことでとても刺激を受けていた。
『俺たちは「歌い手」ではありませんが、アツシ様に聞いていただけたら…』
ネスミスもショーキチの隣に立って、アツシにそう言った。二人が真剣だと言うことは顔を見れば分かる。アツシは二人の肩に手を置いて
『聞かせてくれるかい?』
と笑った。
その時もう一度扉が開いた。そこから入って来たのは王だった。皆がその場に膝をつく。王はショーキチ達の前に来ると優しく笑って言った。
『俺も聞かせてもらえるかな』
王の前で頭を垂れているショーキチとネスミスは顔を上げぬまま答えた。
『光栄です!』
『恐れながら、歌わせていただきます』
二人の力強い言葉に王は頷いて見せた。皆も二人の歌を聞くために体勢を整えているとナオキが王に椅子を持っていった。
『王、どうぞ』
『すまないな』
王が言うとナオキは静かに頭を下げた。
王が椅子に座ったのを見てショーキチとネスミスが立ち上がる。そして皆の顔を一瞥するとショーキチが一歩前に出た。
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