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『皆様の前で歌えるのは光栄です。アツシ様の声が戻られたことの喜びをこの歌に込めて…』
ショーキチの視線を受けてネスミスが頷いた。
ショーキチが歌い出し、続いてネスミスも歌い出した。ショーキチの柔らかい声とネスミスの温かい声が折り重なり、美しいハーモニーを奏でる。
アツシは目を閉じ二人の歌を聞いていた。サングラスのその奥の瞳から一筋の涙が落ちる。二人の自分への想いがアツシの胸を熱くさせるようだった。
最後のフレーズを二人は視線を交わしながら丁寧に歌い上げると、皆に目を向け頭を下げた。
皆が二人に拍手を送る中、アツシは立ち上って二人に近づいて行った。
『ありがとう、二人共』
アツシが言うと二人はその瞳を潤ませた。そんな三人に、王も立ち上がり近づいて行く。
『二人とも、とても心のこもった歌だった』
『ありがたきお言葉』
二人はその場に膝をついた。王は振り返ると皆に向かって声を上げた。
『飲むぞ』
王の言葉に皆が手に持ったグラスを掲げ、喜びの声を上げた。
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