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ナオトはナオキに顔を向ける。そしていつもとは違う真剣な顔で言った。
『王は必ずお戻りになる。俺たちは信じて待とう』
『そうですね』
ナオトが言いたいことはナオキにはちゃんと伝わっていた。
雲に覆われても太陽はそこにあるように、今ここにいなくとも王の存在が消えることはない。
ナオキは深く頷いた。
『ではナオト様はまた旅に出られるのですね』
ナオキが聞くとナオトは目を泳がせた。
『ナオト様』
ナオキが咎めるように名前を呼ぶとナオトは口を尖らせた。
『王がお戻りになるまではいいだろ!』
ナオキは腕を組むとナオトを見下ろす。ナオトは視線を合わせないようにしていたが、沈黙に耐えられなくなったのか階段を上がってナオキの後ろに回った。
『お前は俺には逆らえないよな』
逆にナオキを見下ろすとナオトは不敵に笑う。その顔が少しだけ自信なさげなのにナオキは気付いていた。
確かにナオキはナオトには逆らえない。だがナオキは搭の守護者として、他の者にはない権限がある。
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