第6章

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まだ夜も明けていない暗い王の間にナオキは一人立っていた。その身はすでに「踊り手」の装束に包まれていた。 もうすぐ「NEW HORIZON」と呼ばれる夜明けが来る。それは新しい時代の幕開けであり、新たなる後継者たちを迎える儀式でもある。 後継者が誕生すればナオキの守護者としての任は終わる。それが寂しくもあり、ナオキはこうして王の間に来ていた。 『ここを離れる日が来たんだな』 そう呟くとナオキは主のいない玉座の前に跪き、頭を下げた。そのまま目を閉じこの五年の事を思い返す。 『らしくないな』 ナオキはそう言うと立ち上り王の間を出た。 朝日が昇る時、ナオキには守護者としての最後の仕事がある。後継者を迎え入れ、仲間の元へ誘わねばならない。 ナオキはじっと暗い地平線を見つめる。ナオキの視線の先に明るい太陽の光が一筋見えてきた。 『始まったか』
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