第6章

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ナオキはすぐに王の間に戻った。そこに並ぶ五つの玉座が光を放っている。それをナオキは少し離れた場所から見つめていた。 光が消えると玉座には若者たちが座っていた。彼らは目を閉じその瞬間を待ちわびているかのようだった。ナオキは歩みを進めると彼らに向かって言った。 『目を開けろ、後継者たち』 彼らはゆっくりと目を開いていく。そして目の前にいるナオキに力強い眼差しを向けた。 まだ幼さの残る顔つきの者もいるが、その瞳から伝わるのは意志の強さ。そして自分たちが後継者に選ばれたことへの自信。 ナオキは一人一人の顔をじっと見つめると大きく頷いた。 『よい面構えだ』 そう呟いたナオキは優しく笑った。その笑顔を見た後継者たちも少しだけ頬を緩める。 その笑顔に引き寄せられるかのように後継者たちは立ち上りナオキの前に並んだ。 ナオキは彼らの前に立ったまま後ろに延びる階段に手を伸ばした。 『あの階段の先に我らが王と「放浪者」の仲間がいる。私が階段を上り切ったら上がってくるのだ』
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