第6章

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先頭を進む男は口の中が渇いていくのを感じていた。おそらく後ろに続く者たちも同じだろう。 もうすぐ階段を上りきる。彼らの前に立ち並ぶ「放浪者」たちは自分たちの黒い装束とは違い、銀の装束に身を包み神々しささえ感じるほどだ。 そして何よりもその身から放つ雰囲気は、言い伝えにある14人の王がそこに存在するかのようだった。 五人は「放浪者」たちの前に並ぶ。そして何も言わず彼らの前に跪いた。それを見たアツシは一歩前に出た。 『よく来たね。これから君たちは「放浪者」としての使命を担っていく。我々はそれを手助けしていく。なんでも聞いてくれ』 『『『『『はい』』』』』 若干声が震えていたが、彼らはアツシにそう答えた。そんな初々しい彼らの反応にマキダイが声を上げた。 『可愛いねぇ。つか、今回の後継者は若いな』 ニコニコしながら言ったマキダイにナオトが端っこから答えた。 『すみません、マキ様。前回の後継者は可愛くなくて…』 『ナオトだって五年前は可愛かったって…』 慌ててマキダイが言うと、その隣にいるマツが言う。 『ナオトは今でも可愛いよなぁ』 『マツ様、大好きです』 マキダイはマツに視線を向けて、やったなと言いたげな顔をするがマツは素知らぬ顔をしていた。
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