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『俺とお前はずっと一緒にいたよな』
『そうですね』
二人は同郷の出で共に踊り手になることを夢見ていた。そして後継者として選出されたのも同じ時。
だがナオキは守護者として搭を護る役目を与えられ、二人が一緒にいる時間は急激に減った。
そのせいかナオトは旅から帰ると真っ先にナオキに何を見てきたかを聞かせるようになった。
『ナオキ』
『はい』
ナオトはナオキに視線を向けられ、少し恥ずかしそうに俯いた。
『お前が守護者の任を解かれたら、一緒に里帰りするぞ』
ナオトの言葉にナオキがきょとんとした顔をした。ナオキが口を開こうとした時ナオトは彼に背を向け
『俺、あれから一回も帰ってないんだからな。お前と一緒に帰るって決めてたから…』
そう言った。照れくさいのか自分を見ないナオトの背中をナオキはじっと見つめていた。ナオキはナオトの隣に立つと
『ありがとうございます』
と小さな声で呟いた。それを聞いたナオトは勢いよく振り返る。
『べ、別にお前のためってわけじゃねーからな。おばさん達にナオキはって聞かれても困るしさ…』
ナオトはまくし立てるように言って言葉を止めた。
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