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『ナオキ?』
『ナオトさん、覚えてませんか?俺たちが踊ってると必ず見に来てた子がいたのを?』
『ああ!あのチビ…』
言葉を止めたナオトにナオキが目を向けると、今度はナオトがぽかんと口を開けている。
『ナオトさん?』
『ナオキ、今お前…俺のことナオトさんって呼んだ』
『あ…』
言われたナオキも驚いていた。記憶の中で呼んでいたように無意識にナオトを呼んでいたからだ。
『すみ…』
『謝んなよ!俺、今めっちゃ嬉しいんだから!』
大きく目を見開いたナオトの顔が一際輝いて、まるで子供のようなあどけない笑顔でナオトは言った。
『ガキの頃に戻ったみたいだな』
『はい』
ナオキも照れくさそうに笑う。ナオトは二人に近づくと
『で?お前はいつまで泣いてんだよ!』
ナオキにしがみついているタカノリを茶化すように笑った。
『……ナオ兄…』
『だーかーらー!ナオ兄じゃ、俺かナオキか分かんねーって言っただろーが!』
『ちっちゃいナオ兄…』
『まだそう呼ぶか?』
ナオトが目を細めて言うとタカノリはナオキから離れ、涙を拭いながらナオトに向き合った。
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