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ナオキは優しく微笑むとタカノリの肩に手を置いた。
『俺たちは何もしてないさ。ここに来れたのはお前自身の力だから』
『感謝すべき相手は俺たちじゃない。お前はこれから、そのことに気付いていくから』
二人に掛けられた言葉にタカノリは大きく頷くと頭を下げて言った。
『まだまだ未熟者ですが、これからご指導よろしくお願いします!』
『えー!やだよ、めんどくせー』
『ナオトさん…』
ナオキは苦笑いでナオトを見つめ、タカノリは顔をひきつらせた。
『「放浪者」としての自分は、自分でしか見つけられないんだよ。誰かに教えられてなれるもんじゃねーの』
『ナオトさん、それが教えてるってことでしょ』
ナオキの言葉にナオトはにやりと笑った。ナオトは間違いなく「放浪者」の先人としての言葉をタカノリに与えていたのだ。
『タカノリ、明日は大事な日だ。「放浪者」としての初の務めがあるのだから、今日はゆっくり休め』
ナオキがタカノリの肩を叩くとタカノリは頷いた。
『はい、ナオキ様』
タカノリがそう言って二人に背を向けるとナオトがタカノリを呼び止めた。
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