第6章

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『他の方々の前ではダメだけど、俺らだけの時はナオ兄でいいぞ』 振り返ったタカノリは勢いよくナオトに抱きつくと 『ありがとう、ナオト兄』 そう言って子供のような顔で笑った。 タカノリはナオトから離れると失礼しますと頭を下げて部屋に戻って行った。その後姿を見送った二人は自然と顔を見合わせる。 『俺たちを目標にして「放浪者」になった奴に会えるなんてな…』 『こんなに嬉しいことはありませんね』 『ああ』 ナオトはナオキに背を向けたが、突然振り返った。 『ナオキ、お前もだからな』 『何がですか?』 首を傾げたナオキの背中に飛びついたナオトは言った。 『二人の時はナオトさんって呼べよ。様呼び、禁止だ!』 ナオキは背中にのしかかるナオトをおんぶするとクスッと笑う。 『分かりました、ナオトさん』 ナオキにナオトさんと呼ばれナオトはまた嬉しそうに笑った。
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