終章

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ナオキは王の間の前に来ていた。今日も太陽が眩い光を放ち始めている。ナオキが気配を感じ振り返ると後継者の五人が揃って立っていた。 『よく眠れたか?』 ナオキが優しく問いかけると後継者たちは黙って頷いた。ナオキが目を向けるとタカノリが照れ臭そうに微笑みを浮かべた。 『では、行こうか』 ナオキが言うと、皆力強く頷いた。これから彼らは「放浪者」としての初めての務めを行うのだ。 ナオキは王の間の扉を開いた。 暗い王の間に光が差し込む。その光の先に「放浪者」たちの姿があった。 ナオキについて後継者たちは歩みを進める。そして「放浪者」たちの前で一礼すると階段の先の玉座に目を向けた。 『これから儀式を行う。この儀式は後継者を迎え入れるものであり、「放浪者」の結束を結ぶものでもある。我々は一人ではない。皆が揃って初めて一つの事を成し遂げられるのだ。各々、それを忘れるな』 王の言葉に皆が頷いた。そして王は玉座に腰を下ろす。それが合図であるかのようにアツシとタカヒロが一歩前に出た。 ナオキは後継者たちに微笑むと「放浪者」たちの中に入っていった。後継者の五人はただ黙って彼らを見つめていた。
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