終章

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アツシとタカヒロを「踊り手」たちが囲むと二人が歌い出す。その歌声は少しずつ少しずつ大きくなっていく。まるで「放浪者の塔」が二人の歌声に反応しているかのように、その声をさらに響かせているようだった。 そして「踊り手」たちが踊り出す。 「治癒」の能力をもつ「歌い手」の歌声。そして「活性」の能力を持つ「踊り手」の踊り。 その二つが融合することで、さらなる大きな能力が生まれる。それが「放浪者」たちに伝わる言い伝え。 後継者たちは自分たちに力が漲っていくのを感じていた。彼らを見ているだけで沸き起こる言いようのない高揚感。 彼らの歌と踊りが起こすこと…それこそが奇跡なのかもしれない。 タカノリはそんなことを考えていた。 今までは全員が踊っていたが、今度は一人ずつ踊り出す。 そしてナオキが踊るのを見ていたタカノリは自然に一歩前に出た。ナオキがタカノリに目線を向けた時、タカノリは飛び出して踊り出していた。 タカノリの踊りに火を点けられたかのように次々に後継者たちが踊り出す。
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