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その時、「放浪者の塔」の周りに光が溢れていた。それはまるでいくつもの小さな太陽が集まっているかのような、膨大なエネルギーの塊。その光が一斉に「放浪者の塔」に降り注ぐ。
歌い踊り続けていた「放浪者」たちは自分たちに降り注ぐ光を感じていた。それがさらに彼らの心を熱くさせる。
彼らはその日、昼夜を忘れ踊り続けた。
「歌い手」が歌うのをやめたのは次の日の夜明けだった。
息を切らし動かない「放浪者」たちの姿に王は立ち上り拍手を送る。
『皆、素晴らしかった。今日はゆっくり休むといい』
王を見上げた彼らは満足そうな微笑みを浮かべていた。
だがタイキがふらついたと思ったらその場に膝をついた。タイキだけではない。次々に後継者たちが倒れ込んでいく。
近くにいる者がその身体を支えてやるが、まるで放心したかのような後継者たち。だが彼らはとても満ち足りた表情をしていた。
『大丈夫か?』
声を掛けられ我に返ったかのような顔をしたアランが口を開く。
『あの光は一体?』
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