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『マジかよ』
『ただし花を持ち帰ればクリアと言うわけじゃない。お前たちは自分たちに足りないものを補って帰ってくるんだ』
シャーマンの言葉に皆が不思議そうな顔をする。自分たちに足りないもの、その意味を理解できないのだ。
『俺に足りないものなんかない』
ケイジはシャーマンを見据えてきっぱりと言い切った。それを聞いてシャーマンは声を上げて笑い出した。
『何がおかしいんだよ?』
笑われていることに苛立ったケイジが語気を強める。シャーマンはゆっくりと立ち上がりケイジに近づいて行った。
そしてケイジの前に立つと彼の顎に手を掛けた。
『自惚れるんじゃないよ、若造が!』
そう言ったシャーマンの声は今までのような声ではなかった。まるで目の前の獲物を射竦めるような厳しい言葉。
ケイジは彼女の金のベールから覗く瞳を見た瞬間、自分の体が震えるのを感じた。ぞわっとした感覚と共に体中の毛が逆立つようだった。
『お前は何事も自分でできると思っている。恐れを知らぬその度胸は大したものかもしれないが、その代わり協調性がなく無知でもある。まず間違いなくこの中で一番に死ぬのはお前だよ』
シャーマンが手を離すとケイジは小さく舌打ちをした。
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