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翌朝、彼らは日の出とともに旅に出た。見送りのためショーキチの三人の姉たちが来ていたが、彼女たちはなかなかショーキチから離れようとしなかった。
頬を撫でながら別れを惜しむ姉たちにショーキチが言った。
『ちゃんと帰ってくるから…』
『ショーキチ…』
『ネスミス、ショーキチを守ってやってね』
『テツヤ、ショーキチを頼みますよ』
『ケンチ、お願いね』
『俺にはなしかよ』
ケイジのぼやきに姉たちは一斉にケイジを睨みつけた。
『あなたはショーキチに関わらないで!』
『ショーキチがあなたみたいに野蛮になったら困るわ!』
『野蛮とか、お前らには言われたくねーよ!』
『なんですって!』
売り言葉に買い言葉でののしり合いが激しくなっていく。
『姉上!俺たちもう行くから!』
その言い合いを止めようとショーキチが割って入ると姉たちは優しく微笑んだ。
『姉君たち、ショーキチは俺が守るから…』
ネスミスがそう言うと彼女たちはやっとショーキチの手を離した。
『ネス、あなたを信じるわ』
『皆、無事に戻ってきて』
『気を付けてね』
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