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彼女たちが見守る中彼らは森に入って行った。歩き出してしばらくするとショーキチが大きく息を吐いた。
『やっと姉君たちはついて来るのをやめたか』
『うん』
ショーキチは背後からついてくる姉たちの気配をずっと感じていた。例えこの森がネスミスの縄張りであるとは言え、森の者たちは草原の者が足を踏み入れることを好まない。何かあったらとショーキチはずっと心配していたのだ。
『あいつらはお前より強いから心配ねーよ』
先を歩きながらショーキチに言うケイジの腕をテツヤが掴む。
『おい、そんな言い方はねーだろ』
腕を掴まれケイジは一瞬足を止めるが、テツヤを一瞥するとその手を振り払った。
『じゃあ姉様たちを安全なところまで連れ戻して来いって言えってか?ここが森だってことはあいつらだって分かってるさ。それでもこいつを心配してついてくる気持ちを止める事なんかできねーだろーが!』
ケイジの言葉にテツヤは何も言い返せなかった。ケイジは彼らに背を向けるとまた歩き出した。それを見たショーキチが歩き出し、その後にネスミスが続く。
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