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二人は顔を見合わせ同時にため息を吐いた。
『どうする?』
テツヤが声を掛けるとケンチは笑いながら答える。
『どうせネッさんとこだろ』
『だな』
二人は森に向かって歩き出した。二人が歩いていると一匹のガゼルの子供が草を食べていて、それを見つけたケンチはその子に声を掛けた。
『おい、群れから離れると危険だぞ。早く群れに戻れ』
『ケンチ様!』
ガゼルの子はケンチに気付きピョンピョンと飛び跳ねる。ケンチの周りを嬉しそうに駆け回るその子を落ち着かせるとケンチは言った。
『さっきライオンの群れが来ていた。襲われたら俺でも助けられない。いいか、早く群れに戻れ!』
ケンチの声が真剣さを帯びているのに気付いたガゼルの子は黙って頷くとケンチ達の来た反対方向へと走って行った。
姿が消えたのを見てケンチは安心したようにその頬を緩めた。
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