第1章

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『立派に長の役割を果たしているな、ケンチは…』 テツヤが言うとケンチは視線を落とした。 『俺などまだまだ父上の足元にも及ばぬ』 『だが試練を終えれば俺たちが次の長となり、このアルカディアを治めていかねばならない。父君の影に隠れてはいられないぞ』 『試練か。明日の夜だったな、魔女の元に行くのは…』 ケンチの呟きにテツヤは黙って頷く。テツヤもまた不安げな表情を浮かべた。 次の長となるべき若者たちに課せられる試練。それは命を落とすかもしれないほどに過酷なものと聞いている。 『今考えてもしょうがねーよ。森へ行こう!』 テツヤは沸き上がる不安を隠すようにわざと明るい声を出した。その声にケンチも笑顔を取り戻す。 二人はまた歩き出した。
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