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「ツヴァシェリーヌよ。先の三国会談の事は聞いておるか?」
「はい。族長自らフォブレリー族長国に出向いたと」
「そうか。なら話は早い」
族長は懐から一通の手紙を取り出した。
「この書状をナーベルト長老に渡してくれ」
「はっ」
私は直々に手紙を受け取ると、それを懐に納める。
「中には、砦の建設に関する指示が入っている」
書状の内容を簡単に説明する族長。
本来であれば私に説明する必要はないのにである。
こういう時、族長が何を求めているのかはこれまでの経験で把握していた。
「北方に砦でございますか?」
「うむ。北からの侵攻を見張る」
「北というとグアラナスティンから?」
グアランスティン王国はこのフロイテ族長国と雪山山脈を挟んで存在する国だ。
これまで一切の交流が無く、存在すらどうなっているか分からない状態になっていたが、つい昨年、グアラナスティン王国と隣国のフォブレリー族長国との間の雪山山脈の一角が貫通し、通行出来るようになった。
それにより行われたのが、族長が赴いた三国会談なのだ。
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