第1章

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バシッと決める最後のポーズが 人の形をした芸術作品に見えてくる。 同じ人間なのに、同じ身体を持って生まれてきた人に思えない。 後から身に付く特技でも 天性がなければ、ここまでの完成度の高いものには ならない気がする。 「パチパチパチパチパチ…」 思わず拍手してしまった私に気づく先輩。 「おまえか」 「先輩、カッコよすぎる」 「おまえ、ストーカーか。うざいの通りすぎて、怖いわ」 「えっ、ちがっ。 私もここで練習しようと思って」 ストーカーと言われて、慌てふためく私。 そんな風に言われるの心外だよ。 どう転んでも、私って迷惑な人にしかならないみたい。 「練習してもいいけど、俺の邪魔すんなよ」 「邪魔なんかしませんよっ。でも、先輩と一緒に踊りたい」 「はあー?」 「先輩、ダンス完璧なのになんで練習するの?」 あ、無意識についタメ語が。 「今度、ロスで世界チャンピオンシップがあるから。 部活で教えてばっかりだと俺の時間がないわけよ。 だから俺の貴重な時間を邪魔してほしくないわけ」 そう言いながら、身体を動かして 踊り出す。 こうやって話かけているのも 邪魔している事になっちゃうのかな。 「一度だけ、先輩に合わせてダンスさせてください」 私は両手の平を強く合わせて お願いしますポーズをとった。 また、 先輩と一体感 感じるダンスがしたい。 どんなに冷たくされても ダンスの時に先輩と一体感に浸れるのは 少しでも私を受け入れてもらえたような 気がするから。
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