第1章

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「1回だけだぞ。ついてこれなかったらすぐやめる」 えー、そんな イジワルな。 勇人先輩がスマホで音楽を再生させた。 アップダウンが始まる。 慌てて、勇人先輩に身体を合わせる。 ランニングマンからステップが始まって シーウォーク、クラブ、ラビットフット、ツイスト、ラコステ、ヒップロール 色んなステップがミックスされる。 手振りも 先輩のを真似て、 やりこなす ついていく 中途半端に覚えたステップも 勇人先輩のステップ見ながら ぐいぐいイケる! 「次、ロックダンスいくぞー」 ロックダンスは練習したことないけど、 見よう見まねにやってみる。 ヒップホップのステップより難しくないかも? 「次は、ポップ」 ロボットダンスみたいな動き。 きゃー、これゃあ 無理だー。 私はついに息が切れて、 その場にしゃがみこんだ。 「センパーイ、キツいっす!」 「あれ、根性あるんじゃなかった?」 「根性はあっても、肺活量とテクニックはまだ持ち合わせてないでーす」 「そうやって根をあげるところが根性ないだろ」 「ムチャクチャなぁ」 私の努力を認めてっ と心の中で叫びながら 息を切らしていると 勇人先輩が私のまえにしゃがんで 口を開いた。 「おまえ、なんでそんなに一生懸命なの?」 なっ なんで、そんな事を今さら聞くのっ。 「だー、かー、らー、先輩の事が好きだからっ! 」 薄暗い外灯でハッキリ見えない先輩の顔に向かって てきとーな口調で私は告白をした。 「ぷ。 俺の事何にもしらないで、よくそう簡単に好きになるよな? 性格悪くて、おまえの思ってるような男じゃなかったらどうすんの。 そうやって無防備に告ったり近づいたりしないほうが、おまえのためだと思うけど? 犯されるぞ、いつか」 の、のぁにー?!?! 犯される?!?! 先輩の言葉に驚き、 のけぞって 自分の両腕で自分を包み込んだ。 「か、勘弁してください、センパイ」 暗灯りの中に見上げる先輩が 急に野獣に見えた。 「アホ。 だから 俺はおまえに興味ないって言ったろ。 キスも下手だし」 がーん。 興味ないって、また言われた。
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