ゾンビ猫殺人事件

2/8
10人が本棚に入れています
本棚に追加
/8ページ
        【1】  「犯行はこの辺りでしたよね、分署に近いな」  凶悪犯、ゾンビ猫の捜査に同行した心理分析官のトムが言った。 ゾンビ猫……獄中自殺しのはそれだけで驚異だが、何故か生きて同じ犯行に及ぶのもまた脅威だった。 その特徴からゾンビ猫とジムが名付けた。謂わば名付け親だ。  「彼の犯行パターンを再現する必要があるな。そこから共通項を見いだせるかも知れない」  トムは心理分析捜査の一つ『ロールプレイング』を申し出た。 ゾンビ猫は若い婦警ばかりを何人も射殺していた。恐らく分署の付近に張り込んでいたのだろう。  「アンジー、バネッサ、キャサリン、ディラン、一旦分署へ戻りチョッキを着て、合図をしたら出て来てくれ」  トムはてきぱき指示を出すと、同僚達は分署に戻る。  「それから、フィズ、君もだ」  私も同じように指示された。 ゾンビ猫が狙うのは、私や同僚のような20代の婦警とされている。 10代や30代以上には手を出さない。 私も分署に駆け込むとトムからの合図を待つ。
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!