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【1】
「犯行はこの辺りでしたよね、分署に近いな」
凶悪犯、ゾンビ猫の捜査に同行した心理分析官のトムが言った。
ゾンビ猫……獄中自殺しのはそれだけで驚異だが、何故か生きて同じ犯行に及ぶのもまた脅威だった。
その特徴からゾンビ猫とジムが名付けた。謂わば名付け親だ。
「彼の犯行パターンを再現する必要があるな。そこから共通項を見いだせるかも知れない」
トムは心理分析捜査の一つ『ロールプレイング』を申し出た。
ゾンビ猫は若い婦警ばかりを何人も射殺していた。恐らく分署の付近に張り込んでいたのだろう。
「アンジー、バネッサ、キャサリン、ディラン、一旦分署へ戻りチョッキを着て、合図をしたら出て来てくれ」
トムはてきぱき指示を出すと、同僚達は分署に戻る。
「それから、フィズ、君もだ」
私も同じように指示された。
ゾンビ猫が狙うのは、私や同僚のような20代の婦警とされている。
10代や30代以上には手を出さない。
私も分署に駆け込むとトムからの合図を待つ。
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