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アコと目が合うと、カマキリのような男はまばたきを何度もしながら言った。
「やあ。あの、君を驚かせるつもりはないんだ。えっと、初めまして。ぼく、いや、おれの名前は、芦屋晴之。アシヤハルユキって、言うんだ……」
痩せ形で頬骨の張ったカマキリのような男の、おどおどした早口でまくしたてるような話し方がやけに不自然だった。
妙に思ったアコは眉をひそめた。しかし他に話をする相手もいない。
「初めまして、雪野アコです。あの、すいません。ここがどこかご存知ですか?」
アコはぐるりとあたりを見回して続けた。
「何かの施設のような……。宗教か何かの場所でしょうか? 気が付いたらここにいてよくわからなくて。困ってます」
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