プロローグ SIDE A

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晴之の骨ばった手がブルブルと震えている。表情は硬い。 「おれもここのことはよくわからない。だけど、えーっと。その紙」 彼はアコの手の中の『3時間D』の紙を指さした。 「これが何か?」 アコは紙を見せる。晴之が手のひらを差し出す。 「ちょっと貸してくれるかな」 晴之の目が不自然に揺れたのを、アコは見逃さなかった。不信感をあらわにして自分の紙をぎゅっと握りしめる。
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