プロローグ SIDE A

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奥の壁に見えたものは、スライドを映し出す白いスクリーンだった。 大きな壁1面に張られた白い幕。触ると柔らかくしなる。 アコは映写機を探して上を向いてぐるりと見回したが、そんなものはどこにも見当たらない。 にも関わらず、スクリーンに映像が映し出された。名前をつらつらと映し出している。 相野忠雄 竹ノ塚麻耶 向田真奈美 石野幸子 雪野アコ…… 大きなスクリーンの一面に表示された名前の羅列。 周りの者も徐々に集まりだし、今はほとんどの人間がスクリーンの前に立っている。 名前の末尾にはカッコ書きで何かが記されていた。アコの名前の横には(未)。 数分表示した後に、名前は消えた。 スクリーンの裏手からドアを開けるような音が聞こえた。 スクリーンの影からぬっと出てきたのは、得体の知れないモノ。 とんでもなく大きい二足歩行のトラ猫だった。
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