プロローグ SIDE A

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「グリーン、ユキノアコ」 アコは「わたし!?」と思わず大きめの声を出してしまった。 ざっといっせいにアコに注目が集まる。 トラ猫にもジロリと睨まれアコは顔を俯かせて黙った。トラ猫が透明のビー玉を覗く。 「クリスタル、ガイトウシャナシ」 そう言い終えると、トラ猫は全てのビー玉をガラガラの中に戻した。 そのままスクリーンの裏へと消えて行く。 トラ猫が姿を消すと同時に、集まっていた人々は散開した。 アコは近くにいた年上の40代くらいの女性に今の出来事を尋ねようとした。 しかしその女性はアコのことを無視してどこかに行ってしまった。 感情がないような、妙な女だった。
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