幸多郎物語 1.

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むか~し、昔 あるところに働き者の夫婦が住んでおりました。 二人とも貧しくとも助け合って仲良く暮らしておりましたが、悩みがひとつだけありました。 それは、子供ができないことです。 それもそのはず、二人は男同士の夫婦でした…。 二人は一緒にいることでとても幸せでしたが、周りの夫婦が子供に囲まれて楽しそうにしているのを見ると羨ましくて、とても切なくなるのです。 子供がいたらどんなに楽しいことでしょう。 幸せなことでしょう。 そこで、村の村長さんを訪ねて養子をもらいたいとお願いしました。 けれども、男同士の夫婦が里親になるのは良しとされず、なかなかお許しがもらえないでいました。 ある晩のこと 妻の真人(まひと)は、手にした繕い物を片付けて、夫の遊(ゆう)の正面に座り直し、重い口を開きました。 --------------------------- ☆『庭の片隅で』「ペパーミント」の登場人物たちです。
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