第3章

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窓から漏れる朝日の眩しさに、ゆっくりと意識が目覚める。 半分開いた目でぼんやりと窓の方を見つめながら、体中にありえないほどの倦怠感を覚えた。 重い……し、痛い…………。 頭の中が霞みがかったようにはっきりとしなくて、それになにより腰が痛い。 ついでに言えば、後ろも何か違和感があるように感じる。 ………………嘘、だろ…………。 ドラマや漫画なら、次の日の朝になると昨夜あったことを都合良く忘れていて、 清々しく目を覚ますなんていうシチュエーションがあるのかもしれない。 けれど。 実際は、目が覚めた瞬間に思い出した。 それも、酔っ払っていたくせに結構鮮明に。 生々しく、あの時の須藤さんの吐く息や、呻くような小さく低い声まで脳裏にこびりついていて。 うわ。 うーーーーわ、ダメだ、これ。 枕を持ち上げうつ伏せの自分の後頭部へ、顔を隠すようにそれを乗せる。 だって。 この部屋、須藤さんの部屋だろ? ラブホテルじゃないこの雰囲気は、そういう事だ。 そして、今は隣にいない須藤さんも、この家のどこかにはいるということで。 急いで用意をして、無言で出て行くか? ふとそう思い体を持ち上げるけれど、やはり体中の違和感に一瞬喪失感に駆られてしまう。 須藤さんと、寝た。 何度も。 気持ち悪かったけど。 めちゃくちゃ気持ちよかった。 ベッドの中の須藤さんは、いつもの須藤さんとはまるで別人で。 意地悪く言葉で責めたり、かと思えば優しい声で語り掛けられたり。 ていうか。 あの人、絶倫じゃねーの? あぁ、体が重い。 眠い。 バラバラな思考回路が、悶々と様々な感情を呼び起こして来た。
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