第4章

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須藤さんが、男も、抱ける。 その情報多分一番必要ない。 だって俺は、身をもって知ってるし。 不意にあの時の光景や感情に意識が飛び、大きな溜息と共に掌で顔を覆った。 児玉、てめぇ。 「役に立たねぇな、このクソ野郎」 「ぇえ!?すっげぇ面白い情報じゃねぇ!?早川ちゃんだから教えたのに!!」 うるせぇな、知ってんだよそんな事! ついでに言えば、あの人がセックス上手いって事も知ってんだよ! つか、思い出させんなよ、この出来損ない下半身め!! 憎悪に近い表情で睨み付けると、児玉がまるで耳を垂らした子犬のように、 しょぼんと肩を落として口を閉じてしまった。 「…………あのさぁ。それ、誰かが実際見たの?」 「……いや、秘書課の子の友達の友達が須藤さんと同じ高校だったらしくて、 仲の良い友達グループと遊びでそういう事やってたって噂が、高校時代あったらしいよ」 噂の噂。 信憑性が格段に落ちる。 けれど、須藤さんが俺を抱いたのは事実だ。 男を抱くのは初めてだ、みたいなこと言ってたけど。 そんな過去があったとしても、今じゃもう驚くことでもない。 あの人は男を抱ける。 そんな言葉、なんの脅しにもなんねぇ。
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