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「もっとねぇのかよ、浮気相手に子供を産ませて捨てたとか、
実はギャンブラーで家賃払えなくてすっげぇ借金抱えてるとか。
あ、水虫があってもいいな。あのイケてる面で水虫とか、一番やべぇかも」
「……………………妄想か願望かよく分からないスイッチ自分で押すのやめろ」
危ないものでも見るような顔の児玉に、俺は舌打ちをしながら豚キムチを口に入れた。
「なぁんでさっきのネタでビビんねーかな。あのイケメン須藤さんが男と……だぞ?
女の子達はきゃあきゃあ喜んでたけどさ、同じ男からしてみればやべぇだろ」
そのやべぇのくくりに、目の前にいる俺が入ってしまっているなんて。
考えもつかないだろうな、児玉。
「男とはねーわ。お気に入りの早川ちゃんとでもねーわ」
「ぁあ?うっせぇな、こっちから願い下げだ、そんな使い過ぎて腐り切った下半身」
「……………………もう須藤さんの話やめようよ。俺だけが傷付く」
そこまでテンションを下げられてしまっては、
いい加減少しだけ申し訳ない気持ちが湧いて来るのが人間の性だ。
「…………児玉。俺が突っ込む方ならヤッてやっても良い」
「……………………それがフォローだと思ってる早川ちゃんが本気で怖ぇ」
百万歩譲歩してやったのに、コノヤロウ。
「ヨシ。今から抱いてやる。来い」
最終的には児玉がちらりと薄い視線を俺に返しただけで、
あの児玉に無視をされるという結果に、少なからず俺も傷付いた。
この変なテンションも。
きっと、須藤さんのせいだ。
いつか目にもの見せてやる。
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