第1章

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「展示会では、会場のど真ん中に美島さんの作品をズラッと並べます。 あと、会場に来た方々が休憩する場所にも、美島さんの椅子を置きますね。 けれどこれはあえてアピールはしません。気付く人が気付くだけで良いんです」 図案を見る美島さんの目が、キラキラと輝いている。 そんな美島さんを見ることが、今の俺の幸せそのものと言っても過言じゃない。 「すごいなぁ。俺の作った物がこんな風に紹介されるなんて…… 明美が聞いたらまたからかわれそうだ」 奥さんのことを思い浮かべる時、美島さんの目にはいつも優しい色が滲んでいた。 心から愛しているのを、俺はもう随分と前から知っている。 俺の理想の夫婦像。 明美さんはかなり勝気な人だから、尻に敷かれるのは目に見えているけれど。 「例えからかわれても、美島さんの作品の一番のファンは明美さんでしょ。 あ、二番は絶対に俺ですからね?そこは譲れません」 俺の言葉に美島さんは小さく笑うと、「そうだね」と嬉しそうにこぼした。 「本当に……君に出会わなかったら、僕の作品はただの趣味で終わっていたよ。 改めて…………ありがとう、早川君」 ありがとう。 この一言が、働く原動力になる。 そして、お礼を言われたその瞬間。 決まっていつも、こう思うんだ。 この仕事が、大好きだって。
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