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長い茶色い髪をフワフワのゴムでまとめ、バッチリと化粧をしたその顔は、
IKKOを崩したような出来上がりだ。
身長だって俺より少し高いし、どう見たって男の体付きに更なる違和感を感じずにはいられない。
異質だ。
すんごく。
オカマには全く免疫がない自分で、須藤さんの役に立てる事なんかあるんだろうか。
はっきり言って。
めちゃくちゃ、ビビってますけど?
「とりあえずお茶でも飲んでお話しましょ?」
軽やかな声でそう言うと、権田さんは影山さんを連れてリビングへ向かった。
未だ放心状態の俺の背中を、須藤さんが軽く叩いて気合を入れて来る。
「失礼のないようにな、早川」
「……こういう情報は先に下さいよ、マジで」
「良い刺激になっただろ?」
くすりと小さく笑いながら歩いて行く須藤さんに、心の中で悪態という悪態をつきまくってやった。
公私混同するななんて言いながら、情報をよこさないそのやり方はどうなんだ?
俺を戸惑わせて、その様子を楽しんでいるとしか思えない。
ますます須藤さんの事を嫌いになりながら、俺は皆の後を追ってリビングに入って行った。
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