第5章

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携帯をポケットにしまい込み、須藤さんがいる個室に戻った。 靴を脱いで障子を開け、重い体をゆっくりと持ち上げる。 後ろ手に障子を閉める俺の姿を、テーブルに肘を付きながら須藤さんが見ていた。 「遅かったな。吐いたか?」 「いいえ。大丈夫です」 言いながら、少し倒れ込むように自分の席へ腰を下ろす。 うわ。 歩いたせいか、酒の回りが一気に来た。 ちょっと、フワフワする。 「はぁ」 小さく息を吐くと同時に須藤さんが腰を上げる。 「俺も行って来る」 そう言うと俺の返事を待たずに、軽やかな足取りで部屋を出て行った。 一人残された部屋で、ただただボーッと放心する。 部屋の外から聞こえて来る食器の音や店員が歩く音、席にひとつ付いているベルの鳴り響く音や、 いらっしゃいませ、ありがとうございましたの掛け声。 色んな音を聞きながら、気付けば満タンに入っていた目の前のビールが、いつの間にか空になっていた。 あれ? 俺が、飲んだっけ? 更に酔いが回って来て、頭の中がぼんやりと霞んでいる。 眠い。 寝ようかな。 誰も、いないし。 漠然とそんな風に考え寝転ぼうと手を付いたと同時に、障子がスーッと開く。 入って来た須藤さんは俺の姿を見るや否や、呆れ切った表情を浮かべた。 「こんな所で寝る気か、バカ」 大きく息を吐きながら、戸を閉めた須藤さんが俺の隣に座り込む。
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