第5章

9/17
前へ
/537ページ
次へ
あれ。 なんで隣に座るの、須藤さん。 「アンタの席は、あっち…………」 「ほら、体起こせ」 肩をつかまれグッと後ろに押さえ付けられる。 すると何故か、木の板の感触を背中に感じた。 あ。 壁? 気が付けば、須藤さんがめちゃくちゃ近い。 先ほどまでの飄々とした雰囲気が抜け、絡み付くような目で見られて微かに思考が乱される。 けれど、酔いが回り切っているこの頭では、ロクな考えが思い浮かばない。 須藤さんも、酔っ払ってるのかな、とか。 そんなに俺の顔を見て、もしかして鼻毛でも出てんだろうか、とか。 アホみたいな事を考えていたら、その顔がグッと近付いて来た。 「…………ーーーー俺の前で酔うお前が悪いだろ?」 嫌な、奴。 こうやってすぐ、責任転嫁ーーーー 唇が触れ、そこで強制的に思考が遮断される。
/537ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6638人が本棚に入れています
本棚に追加