第1章

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「明莉ちゃん、どうしたの?」 ヤバい、見つめすぎた。 「杏奈もおばさんも早く元気になると良いね」 私は慌てて目を逸らす。 いかんいかん。最近の私は変だ。気がつけば杏奈をじっと見つめたり、杏奈の事ばかり考え過ぎている。 昨日はお姫さまの格好をした杏奈を守る勇者になった夢までみた。 杏奈…可愛かったな。 「おーい!明莉~!ボーッとしてなんか悪いもんでも食ったか?」 デリカシーの無い声に我に返る。 「健吾くん、おはよー」 「杏奈ちゃん、おはよー。今日も可愛いね」 ニヤニヤして杏奈に手を振る馬鹿健吾。一応私の彼氏である。 「健吾じゃあるまいし拾い食いなんかするかよ」 「明莉、相変わらず口わりぃな。少しは杏奈ちゃんの女らしさを見習いなさい」 「偉そうに言うな、ボケ!」 二人のやりとりを杏奈はニコニコしながら見ている。 「健吾くん、これでも明莉ちゃんはメチャメチャ優しいんだよ」 私はちょっとずっこける真似をする。 「これでも、とはなんだ!杏奈まで。もういいよ」 怒った振りをして走り出す私。大丈夫。いつもと同じだ。何も変わってない。大丈夫。
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