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「明莉ちゃん、どうしたの?」
ヤバい、見つめすぎた。
「杏奈もおばさんも早く元気になると良いね」
私は慌てて目を逸らす。
いかんいかん。最近の私は変だ。気がつけば杏奈をじっと見つめたり、杏奈の事ばかり考え過ぎている。
昨日はお姫さまの格好をした杏奈を守る勇者になった夢までみた。
杏奈…可愛かったな。
「おーい!明莉~!ボーッとしてなんか悪いもんでも食ったか?」
デリカシーの無い声に我に返る。
「健吾くん、おはよー」
「杏奈ちゃん、おはよー。今日も可愛いね」
ニヤニヤして杏奈に手を振る馬鹿健吾。一応私の彼氏である。
「健吾じゃあるまいし拾い食いなんかするかよ」
「明莉、相変わらず口わりぃな。少しは杏奈ちゃんの女らしさを見習いなさい」
「偉そうに言うな、ボケ!」
二人のやりとりを杏奈はニコニコしながら見ている。
「健吾くん、これでも明莉ちゃんはメチャメチャ優しいんだよ」
私はちょっとずっこける真似をする。
「これでも、とはなんだ!杏奈まで。もういいよ」
怒った振りをして走り出す私。大丈夫。いつもと同じだ。何も変わってない。大丈夫。
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