ドッペルゲンガーの話・Ⅰ

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月曜日の朝。 それはほとんどの学生にとって憂鬱な日だろう。もちろん一高校生である俺こと、遠影智紀(とおかげ ともき)も例外ではない。休日はあっという間に過ぎ、月曜日がやって来て、俺は今高校に向かっている。 人の波に流されるように電車を降り、俺は大きな欠伸を一つした。 昨日は遅くまでゲームをしていたので、まだまだ眠たい。そのせいでいつのまにか電車の中で眠っていたようだ。さっき目が覚めたばかりなので、まだ頭がボーっとしている。 今ハマっているゲームは推理ゲームと脱出ゲームが合わさったような内容で、閉じ込められた空間で起こった殺人事件を解決するというものだ。これは昨日買ったばっかりのゲームで、まだ序盤だというのに何度もゲームオーバーになりながらも、先が気になる展開のせいで止め時がまったく分からず、今日は寝不足になっているのだった。 眠さのあまりかすむ目をこすりながら、少しふらふらとしつつ駅の中を歩いていると、突然後ろから肩を叩かれた。振り向くと、そこには見覚えのある男。 「よっ、はよ!」 片手を上げてにこにこと笑っているのは、俺と同じ制服を着ている男、磯山隼人(いそやま はやと)だった。
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