ドッペルゲンガーの話・Ⅰ

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「おー」 俺は隼人に気の抜けた返事をする。俺がいつもと違うことに気付いて、隼人が不思議そうに俺を見る。 「どうしたんだよ。めっちゃ眠そうだな」 「まあな。ちょっとゲームやり過ぎて寝不足」 端的に今の体調の理由を話すと、隼人は意外だなと言った。 「お前ってゲームとかあんまり興味ないかと思ってたわ」 確かに、と自分でそう思う。隼人の言う通り俺は今まであまりゲームに興味を示さなかった。 突然だった。何故なのかは分からない。昨日突然何かが欲しくなったのだ。今までの自分では絶対に欲しがらない何かを・・・・・・。 「まあ、面白そうだったら今度貸してくれよ」 そう言って隼人はこの話題を終わらせてしまった。あまり興味を引かれなかったらしい。俺達は学校へ向かいながら会話を続けた。 「それよりさあ、聞いたか? 転校生の話」 「ああ。今日からだったよな」 隼人が目を輝かせた。今気になるのはやはり転校生のことらしい。その気持ちも分からなくはない。 時期外れの転校生。このワードだけで何かが起こりそうな気がするのは何故だろうか。その転校生が今日俺達のクラスに来るらしい。 高校二年の二学期、しかも夏休みが明けてから一ヶ月経っているこの中途半端な時期にやって来る転校生は、絶賛俺達の話題の的だった。
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