16人が本棚に入れています
本棚に追加
都会の高校はどうなのか知らないが、ど田舎にある俺達の高校に転校生が来るなんて結構珍しいことだ。だからこそ色々と噂してしまうのは仕方のないことだろう。
「実は俺、転校生について新情報を手に入れたぜ」
「へえー。どんな情報だよ?」
隼人はどうだとばかりに胸を張る。
隼人は噂好きだから、何かと色々な噂をどこからかよく持ってきていた。まあ、ほとんどが大した話でもないので、俺は今回も話半分に聞いている。すると、隼人はにやにやと笑った。
「ふふん。お前にとったら嬉しくない情報だろうなっ、いてっ!」
あまりに勿体ぶるので、イラッとした俺は隼人の腕を叩いた。隼人は腕をさすりながら俺を睨んできたが、無視だ。早く言わないほうが悪い。
口を不満気にとがらせて、隼人は話を続けた。
「俺達のクラスに来る転校生な、男らしいぞ」
「なんだ。野郎かよ」
俺は心の底からがっかりした。どうせやって来るなら可愛い女の子のほうが嬉しい。
こんな情報なら言われないほうがまだ楽しみがあって良かった。そう思って隼人に文句を言おうとしたら、どうやら隼人の話はまだ終わりじゃないらしい。
「しかもな、その転校生、かなりイケメンらしい」
隼人は俺を脅すように声を低くしてそんなことを告げた。だから、・・・。
「だから、どうした?」
「へっ?」
俺の答えは隼人にとって意外だったのか、隼人は間抜けな声を出した。
最初のコメントを投稿しよう!