ドッペルゲンガーの話・Ⅰ

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「どうしたって、気になるだろ? お前の地位を脅かしかねない存在だぞ」 何が面白いのか、隼人はさっきまでのにやにやした笑いを再開した。その顔むかつくから止めろ。 「俺の地位って言われてもなあ。俺以上にイケメンのやつが来るとは思えん」 「分からんでもないけど、相変わらず顔に関してだけは自信過剰だよな」 「自信過剰じゃない。ただの事実だ」 隼人は呆れたように俺を見たが、結局俺の言っていることが間違っていないことを分かっているので特に反論しなかった。 俺は小さいころから、とにかくモテた。理由は顔。顔立ちがとても整っていたからだ。こんな顔に生んでくれた両親にはとても感謝している。 まあ、テレビに出てるタレントなんかと比べてしまえば、さすがに飛びぬけて顔が良いというわけではない。けれど、人数だけやたら多いアイドルグループのアイドルよりはイケメンだと思っている。思うというか、客観的に見た事実だろう。 こんな田舎では俺ほど顔が良いやつなんてほとんどいないから、俺が通っている高校では俺が一番イケメンということになるだろう。ちなみに、俺が高校一年のときに学園祭のミスターコンテストで一位に選ばれたことを証拠として挙げておく。 「でもなあ。顔はお前ほどじゃないにしても中身があるイケメンが来たら、そっちのほうが多分モテるだろう?」 「おい。俺が中身ないみたいな言い方は止めろ」 「実際ないだろ。お前って特技が顔だしな」 「特技が顔って聞いたことないわ」 「だってお前顔以外に褒めるところないじゃん」 結構本気で言ってるらしい隼人に、俺は若干へこんだ。 そんなくだらない言い合いをしているうちに、俺達はいつの間にか学校にたどり着いていた。
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