2.前日

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夕飯は鮭のムニエルと大根の味噌汁、それに玉葱のマリネだった。 浴室の小窓から月が見えた。 そう、駅からの道すがら月を見上げて満月に近いと思ったんだった。 ほぼ満月。 昨日なのか明日なのか、どっちだろう。 雪子とドーナツの穴から月を見るのも面白そうだ。 それでもそろそろ夜風は冷たいから可哀想かな。 そんなことを思っていたのに、帰宅して雪子が眠っているとわかってすっかり忘れていた。 眠る雪子の肩から落ちた布団を引き上げ、身を横たえる。 「明日着ていく服やアクセサリーを合わしていたら雪子が一緒に行きたいって言ったの」 ドレッサーから振り返って咲子が言った。 「そう。やっぱり女の子はそういうのに興味あるんだね」 「普段はスカートも滅多に履かないし、お化粧も適当だから、雪子はもっとお洒落なママが良いのよね……負けちゃいそうよ。」 「子育て中ってみんなそんなもんじゃないのかな。動きやすさ第一で。それに……」 化粧しなくても 「それに、雪子は君が大好きだよ」 充分綺麗だよ、と言えなかった。 まあいいか、明日の朝その分褒めるから。 ドレスアップした咲子は綺麗に違いないから。 「明日、早いんだっけ」 「ええ。出来たら雪が眠ってるうちに出ようかと思うの……」 咲子はじっと見つめてきた。 「大丈夫、任せて」
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