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夕飯は鮭のムニエルと大根の味噌汁、それに玉葱のマリネだった。
浴室の小窓から月が見えた。
そう、駅からの道すがら月を見上げて満月に近いと思ったんだった。
ほぼ満月。
昨日なのか明日なのか、どっちだろう。
雪子とドーナツの穴から月を見るのも面白そうだ。
それでもそろそろ夜風は冷たいから可哀想かな。
そんなことを思っていたのに、帰宅して雪子が眠っているとわかってすっかり忘れていた。
眠る雪子の肩から落ちた布団を引き上げ、身を横たえる。
「明日着ていく服やアクセサリーを合わしていたら雪子が一緒に行きたいって言ったの」
ドレッサーから振り返って咲子が言った。
「そう。やっぱり女の子はそういうのに興味あるんだね」
「普段はスカートも滅多に履かないし、お化粧も適当だから、雪子はもっとお洒落なママが良いのよね……負けちゃいそうよ。」
「子育て中ってみんなそんなもんじゃないのかな。動きやすさ第一で。それに……」
化粧しなくても
「それに、雪子は君が大好きだよ」
充分綺麗だよ、と言えなかった。
まあいいか、明日の朝その分褒めるから。
ドレスアップした咲子は綺麗に違いないから。
「明日、早いんだっけ」
「ええ。出来たら雪が眠ってるうちに出ようかと思うの……」
咲子はじっと見つめてきた。
「大丈夫、任せて」
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