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心の中で強く朝陽の存在を意識して、執念で焦点を合わせようとする。
デイヴィットの足が俺の上に折り重なって、ぬめりがこちらの服を浸す。
銃弾が当たった場所が特定できると、俺はありったけの力を込めてデイヴィットの足を蹴った。
首を締め上げ続けていた手が緩み、気管に空気が流れ込む。たまらず大きく咳き込んだ。
徐々に視界に色が戻ってくる。
憎悪に染まった青い瞳が見えた時、頬をばちんと強く張られた。
口の中が切れて鉄の味がするのに、痛みはほとんど感じない。
髪の毛を掴まれて引き倒され、今度は俺が床にねじ伏せられた。
デイヴィットの手には、いつの間にかハンドガンが握られている。
ここで終わりか。
思わず目をぎゅっと閉じた時、圧し掛かっていたデイヴィットの身体が一瞬浮き上がった。
手から滑り落ちたハンドガンが床の上を滑り、かつんとデスクの脚にぶつかる。
「永、連絡通路へ!」
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