11

51/58
481人が本棚に入れています
本棚に追加
/551ページ
 心の中で強く朝陽の存在を意識して、執念で焦点を合わせようとする。  デイヴィットの足が俺の上に折り重なって、ぬめりがこちらの服を浸す。  銃弾が当たった場所が特定できると、俺はありったけの力を込めてデイヴィットの足を蹴った。  首を締め上げ続けていた手が緩み、気管に空気が流れ込む。たまらず大きく咳き込んだ。    徐々に視界に色が戻ってくる。  憎悪に染まった青い瞳が見えた時、頬をばちんと強く張られた。  口の中が切れて鉄の味がするのに、痛みはほとんど感じない。  髪の毛を掴まれて引き倒され、今度は俺が床にねじ伏せられた。  デイヴィットの手には、いつの間にかハンドガンが握られている。  ここで終わりか。  思わず目をぎゅっと閉じた時、圧し掛かっていたデイヴィットの身体が一瞬浮き上がった。  手から滑り落ちたハンドガンが床の上を滑り、かつんとデスクの脚にぶつかる。 「永、連絡通路へ!」
/551ページ

最初のコメントを投稿しよう!