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その日の帰り道。わたしは、とある場所へと立ち寄った。
小高い丘に、大きな桜の木が一本、街を見下ろすように佇んでいる。
春なら桜の花びらが綺麗に舞うのだろうが、今はそんな時期ではない。
青かった葉も茶色や黄色になっている。
「綺麗だなぁ。」
夕焼けを眺めながら、そんなことを呟いていると、
[リンリンリ~ン♪]
鈴虫だろうか?草むらで何かが鳴いている。
昔はこの近くに住んでいたから、この場所には良く来たものだ。大人になってからは滅多に来ないが、精神的に疲れた時には訪れるようにしている。
癒やされると言うか、落ち着くと言うか、この場所は、わたしの一番のお気に入りの場所である。
無言で佇んでいると、
「んっ?」
桜の木の根元に何やらあるではないか。
よく見ると、箱の先端が土から顔を出している。
「なんだろう?」
そう言って箱を掘り出す。
(埋蔵金だったらいいな んなもんがこんな所にあるわけないか。)
そんな訳のわからないことを思いながら、興味本位で箱を掘り出して、開けた。
中には古い写真が入っていた。
小さい男の子と少し年上の女の子が映っている。 男の子はツンツン頭のやんちゃな感じ。女の子は茶色の長い髪、お人形さんみたい。
そして[ずっと一緒だよ]そう写真の裏には書かれ
ていた。
「あっ!!これは…。なんてこった…。」
わたしは慌てその場を去った。
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